どうも、mahuyuchanです。
ミスターオリンピアの映像がだいぶ出回ってきたので、結果の画像を元に、勝敗を分けた鍵を解説していきます。
目次
ミスターオリンピアスコアシート
国内大会では、規定ポーズでの比較審査が予選審査で、フリーポーズが決勝審査となっていますが、オリンピアでは少し内容が異なります。
以前はフリーポーズも採点対象だったのですが、2010年頃から、フリーポーズの採点はなくなり、完全にファンのために行われるサービスとなりました。
オリンピアでは、まず、1日目に予選審査を行い、続いて翌日に、日をまたいでの決勝審査を行います。
1日の間にコンディションが改善して順位が変動することもしばしば見られます。
今回のケースでは、予選審査でのビッグラミーは、水分を含んで相当フラットな感じに見え、実際に2位のブランドンとのポイント差は1点でした。
しかしながら、決勝審査ではコンディションを上げてきて、満点の5点を得ています。
トータルポイントを見ることで、接戦だった部分があったかどうかが分かるのですが、今回のコンテストにおいては、少なくともトップ6までの間には接戦といった様相はなく、順当に順位付けが進んだ印象です。
フリーポーズに関しては、国内コンテストにおいても、その存在価値が個人的にはよく分からない部分があります。
芸術性を評価するならば、規定ポーズを組み合わせただけのような演技の選手は、点数を低くすべきですが、実際は予選審査の結果をなぞるだけでほぼ順位は変わらずに終わっている感じがあります。
トップ5紹介
続いて、トップ5の今回のコンテストでの特徴について述べていきます。
1位:ビッグラミー
今回もビッグラミーは規格外の筋量を持って登場しました。
以前からビッグラミーの筋量がずば抜けていることは誰もが理解していましたが、なかなかオリンピアに辿り着けなかったのは、コンディションのムラがありすぎたためでした。
ところが、昨年のミスターオリンピアでは、見事に調整された体を持ってきて、誰にも文句を言わせずに優勝を勝ち取りました。
このコンディションを維持できれば、ビッグラミーの時代が続くことは間違いないと思われました。
そして、今年のコンディションですが、正直なところ、落胆した部分が大きかったです。
特に予選審査においては、水分が抜けきっていないのか脂肪が残ってしまっているのかは分かりませんが、全体的にフラットな印象を受けました。
有り余る筋量でなんとか優勝したような感じがありますが、パーツで見れば、2位のブランドンや3位のハディに劣っていた部分もあり、盤石な地位を築いたとはとても言えないと思います。
来年以降は、今回4位のハンターラブラダや、5位のニックウォーカーが着実に力をつけてくるはずなので、このままではまずいという気持ちで改善に取り組んで欲しいです。
大腿の筋量は圧巻ですが、上腕に関してはブランドン、背中のディテールに関してはハディに負けていたように思います。
2位:ブランドンカリー
今回のブランドンカリーは、今までの体の中では最高のものをステージに持ってきたと思います。
強みであるウエストの細さは維持したまま、上腕や胸の迫力をさらに増すことができていました。
コンディションも悪くなく、仕上がりの面で言えばビッグラミーの上を行っていたと思います。
ビッグラミーに及ばなかった理由としては、やはり下半身の発達の度合いに差がありすぎることが挙げられます。
ビッグラミーが、ふくらはぎ以外は完成された脚を持っているのに対し、ブランドンは、バックポーズを見たときのハムストリングと臀筋の発達が極めて劣っています。
この点は昨年のミスターオリンピアでも課題として認識していたはずなので、そう簡単には改善できない問題なのかもしれません。
とは言え、タイトな腹部をコントロールできている点は、現代のボディビルでは重要な要素になりますので、このまま長所を維持しつつ、弱点を改善していってもらえればという感じです。
予選審査ではビッグラミーと1ポイント差でしたが、ファイナルでビッグラミーが調子を上げてきたために、弱点が目立ってしまったように思います。
3位:ハディチューパン
今回のオリンピアで、一番厳しい仕上がりで登場したのがハディチューパンだったと思います。
大腿部の筋肉が完全にセパレートされている様子や、バックダブルバイセプスの時の背中の凹凸感は、他のボディビルダーが真似できないものがありました。
仕上がりだけの話をすれば、完全に上位の2名を上回っていたと思います。
彼がそれでも3位に終わってしまった理由は、やはり上位2名がモンスター級のサイズを持っていたためです。
ビッグラミーは当然として、ブランドンカリーも、歴代のミスターオリンピアの中では大きい方の部類に入る体を持っています。
それらと比べられてしまうと、もともと212クラス出身で身長も低いハディチューパンにとっては、なかなか逆転の余地がなかったのかもしれません。
それでも、観客の投票部門では2回目の1位を獲得しており、その人気は上位選手にも劣らないものがあることはよく分かります。
身長的に、これ以上劇的にサイズを増やすことは難しいと思いますが、弱点と言われている上腕を改善させるだけでも、順位が動く可能性はあります。
オリンピアの審査基準が、バリバリに絞れた体よりは、多少甘くても大きい方を重視するような風潮になっている点は逆風ですが、なんとか乗り越えて、来年は順位を1つでも上げてほしいです。
美しさという観点からボディビルを見るならば、やはり厳しい仕上がりの選手を評価したいと思ってしまいます。
4位:ハンターラブラダ
オリンピア前に書いた結果予想記事で、上位に食い込んでくることを予想した若手の内の一人がハンターラブラダです。
昨年は8位だったので、一気に4位も順位を上げてきました。
今回の躍進の原動力となったのは、なんと言っても全身の筋量の増加です。
特に下半身の充実具合が素晴らしく、下半身のみで言えば、2位のブランドンよりも上だったと言っても良いくらいだと思います。
コンディションに関しては、悪くはないけれども、決して厳しい仕上がりという印象ではなかったです。
ミッドセクションに厳しさが見られず、だらしない印象を受けたのは残念でした。
コンディションに関しては、今回の出場選手では、ハディチューパン以外はあまり目を引く選手がいなかったのは事実です。
オリンピアの流れが、絞り切らなくてもデカければ良いという感じになっているのは否めないですが、これまでにも審査基準が揺れ動くことは何度もあったので、また基準が変わることに期待したいです。
ハンター選手の父は超有名なボディビルダーであるリーラブラダですが、それに劣らない成績を今後残していくであろうことが予見される結果でした。
5位:ニックウォーカー
5位は、今年のアーノルドクラシックを制したニックウォーカーでした。
出場選手の中では厳しい方の仕上がりかつ、筋量的にも十分なものがあったのですが、初出場初優勝という目標は達成されませんでした。
海外のコメントでは、オリンピアの審査員が気に入る体ではなかったのではないかという意見も見受けられました。
ニックウォーカーの弱点は、27歳という年齢にもかかわらず、すでに腹部が膨張し始めてしまっている点です。
ロニーコールマンが失冠したあたりから、オリンピアでは腹部肥大に対して厳しい目を向けるようになり、フィルヒースも腹部をコントロールできず、オリンピア8連覇を達成できませんでした。
ニック陣営もそのことは承知していて、ポージングを工夫して腹部を目立たないようにしているように見受けられますが、そのせいか、全体のポージングがぎこちなくなっているような印象を受けました。
一度肥大した内臓をもとに戻せるのかどうかは分かりませんが、少なくとも、これ以上腹部肥大が進まないようにしないと、ニックがオリンピアのステージで上位に進出するのは難しいのかもしれません。
個人的には苦手なタイプの体なので、5位という順位はまあ妥当かなと思います。
トップ3比較審査
最後に、トップ3の比較審査動画をもとに、各ポーズでどの選手が勝っていたかを分析します。
フロントダブルバイセプス
- 全体的なサイズはビッグラミー
- 上腕の発達とウエストとのコントラストはブランドン
- 下半身の仕上がりではハディ
フロントラットスプレッド
- 全体の筋量ならビッグラミー
- ハードな質感ならばハディ
サイドチェスト
- 圧倒的な脚の筋量でビッグラミーの勝利
- 肩と上腕だけならブランドンも負けていない
バックダブルバイセプス
- 仕上がりや立体感を加味した総合点ではハディ
- モンスター級の筋量という点ではビッグラミー
バックラットスプレッド
- 僧帽筋の立体感という点ではハディが抜群
- 広さという点ではビッグラミーはモンスター
サイドトライセプス
- 下半身のサイズと仕上がりではビッグラミーの独壇場
- ハディは上腕三頭筋の筋量が足りない
アブドミナルアンドサイ
- ブランドンの細いウエストからの上下への広がりが目を引く
- ミッドセクションの厳しさではハディが抜群
- ビッグラミーは脚は良いがミッドセクションが弱い
まとめ
今回は、2021年のミスターオリンピアについて、主に上位選手を分析する記事を書きました。
私の意見が正解というわけではないので、別の意見の方がいましたらぜひコメントください。
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ミスターオリンピア上位選手の分析ありがとうございました。
あらためてみると1位のビッグラミーさんの大きさは目を引くものがありました。足の筋量にもすごいですね。
カリーさんもよいと思っていたのですが、ビッグラミーさんに比べると足が弱い気がしました。
ハディさんは全体の筋肉のバランスが素晴らしいなと思ったのですが、身体の大きさが問題なのは悔しいですね。
日本のコンテストだと、身長の低い選手の方が筋量が大きく見える傾向にありますが、海外では、背の高い選手が十分な筋量を備えてステージに上がるので、小さい選手には厳しい部分もあります。