どうも、mahuyuchanです。
今回は、ボディビルダーが減量時に取り入れるテクニックであるチートデイについて、詳細に解説したいと思います。
以前にも同様の記事を書きましたが、それよりも大ボリュームなので、ぜひご覧ください。
目次
チートデイとは?
チートデイという言葉は、ボディメイクに目を向ける人が増えたたか、最近はボディビルダー以外の人たちにも少しずつ浸透しているように思います。
私がボディビルを始めた10年前頃では考えられなかったことで、その時は、ボディビル雑誌に載っている一部の情報を知っているボディビルダーの間でしか認識されていなかったのではないでしょうか。
また、YouTubeでチートデイを扱う動画が増えたことも、知識が広がることに貢献していると言えそうです。
チートデイのことを簡単に言うならば、食事制限を行っている最中に、あえて食事量を増やす日を設けることで、様々な恩恵をえようという考え方と言えると思います。
以前に書いた記事では、プロボディビルダーである山岸秀匡さんの意見も踏まえながら簡単にチートデイのことをまとめましたが、今回はその内容をさらに深掘りして、チートデイのことが分からなくなったボディビルダーはとりあえずこれを読んでおけば安心という記事を書いてみたいと思います。
チートデイには色々な狙いがあるので、自分の経験も踏まえながらそれぞれを説明していきます。
減量を加速させるためのチートデイ
チートデイに期待される一番大きな効果は、減量を加速させることです。
コンテストに向けて過酷な減量をしたことのある人なら分かると思いますが、調整が進んでカロリーをどんどん下げていくと、「なんでこんなにカロリーを減らしているのにほとんど体重が減らないんだ?」という状況にぶち当たります。
自分はこれまでに4回コンテストに出場していますが、そのような状況に陥らずに減量できたことは1回あったかどうかという感じです。
ボディビルにおける調整では、できるだけ筋肉を残した状態で、極限まで体脂肪を減らすことを理想とします。
このような状態は、人間の体が本来が好む状態ではないので、目標を達成するには苦労が伴います。
まず、脂肪と筋肉では、重さあたりの取り出せるエネルギー量が脂肪の方が2倍程度と多いため、体は危機的状態に陥ると、筋肉よりも脂肪を蓄えておくように防衛反応を起こします。
そのままだと筋肉がどんどん減ってしまうので、ジムに行って高重量のトレーニングを行なって、「筋肉がなくなってしまうと体が壊れてしまうよ」と体に錯覚させて、筋肉が減らないようにすることが必要になります。
減量中盤まではそのようなやり方でどうにか進めていくことができますが、減量終盤にもなると、摂取カロリーの量が著しく減ってきて、それに伴い、体はできるだけエネルギーの消費を抑えるようになります。
一度そのような状態になってしまうと、食事量をかなり制限しているにもかかわらず脂肪が落ちなくなり、どうしても脂肪を落とすためには長時間の有酸素運動が必要になるという場合があります。
そして、そのようにして有酸素運動を長時間行った場合は、筋肉もエネルギー源として分解されますし、同時に有酸素運動の疲労によって肝心のウエイトトレーニングの強度も下がってしまいます。
こうなってしまうと、良いコンテストコンディションを作ることは難しくなってしまうというのが、自分の経験からも言えることです。
このような状態を防ぐためのテクニックとして、チートデイを取り入れることが有効だと一般的には考えられています。
低カロリーの食事を続けると、体はそれに対する防衛反応で消費カロリーをできるだけ少なくするようにしますが、ある一定の周期でチートデイを設けて多めに食事をすると、「実は飢餓状態じゃないんじゃないか?」と体に錯覚させることができます。
これがうまくハマると、停滞しかけた調整が再びスムーズに進むことがあります。
自分自身も、減量終盤で何回かチートデイを取り入れて、その効果を実感することもありました。
低栄養状態に馴化してしまった体をある意味「騙す」ことで、再び減量をスムーズに行えるようにするのがチートデイを設ける一つの意味です。
トレーニングの質を取り戻すためのチートデイ
チートデイを設けることの2つ目の意味は、トレーニングの質を高くすることです。
通常、減量においては炭水化物の摂取量を増減させて体重を減らすことを目指しますが、長期間の炭水化物制限は、筋肉中のグリコーゲンレベルを低下させることにつながります。
グリコーゲンとは、運動中に筋肉が動くためのエネルギー源となるもので、そのほとんどは筋肉と肝臓に蓄えられています。
このグリコーゲンレベルが下がっていくと、筋肉の出力が下がったり、持久力が低下したり、疲労を感じやすくなったりします。
できれば常にグリコーゲンのレベルは高く保っておきたいですが、減量終盤でほとんど炭水化物を摂取できないという状態では、なかなかそれを達成するのは難しいです。
摂取する炭水化物のタイミングをトレーニング直前に固めて、なんとかトレーニングは乗り切るという作戦はありますが、全体の摂取カロリーは低いままなので、根本的に解決できているかは疑問です。
この問題を解決するのに役立つ可能性があるのが、チートデイです。
チートデイを行うと、多くの人は様々なものをこれでもかと食べるはずで、その際に、筋肉中へのグリコーゲンの補給も望めると思われます。
この状態はいつまでも続くわけではないですが、少なくとも、チートデイを行った1日後や2日後は、いつもの減量中よりも集中した状態で強度の高いトレーニングができるはずです。
減量が失敗するパターンとして、疲労の蓄積によってジムでのトレーニング強度が低下し、筋肉を維持できなることがあります。
これを防ぐという意味では、定期的に高カロリーを摂取して、トレーニングの強度を維持していくためのチートデイという考え方は重要であると言えそうです。
これに関しては、Tarzanのインタビューの中で、東京大学の石井教授も同様の見解を示しています。
体力を一時的に回復させて、トレーニングの強度を再び元に戻すという意味でもチートデイは重要です。
精神的渇望を満たすためのチートデイ
チートデイの持つ3つ目の効能として、精神的渇望を満たすことがあります。
これまでに紹介した2つを狙ってチートデイを実施する場合もありますが、多くの人の場合は、減量の辛さを乗り越えるために、定期的に休息期間を設けるという意味合いが強いと思われます。
強靭な精神力の持ち主であれば、減量を始めたその日からコンテスト終了まで、どのような誘惑にも負けずにやり切ることができるかもしれませんが、そう言った人はもちろん少数派で、それ以外の人はいろいろ工夫してなんとか調整を乗り切る必要があります。
その際に重要になるのが、精神を満たすためのチートデイという考え方です。
食べることが好きな人の場合は、減量食を食べ続けることのストレスが溜まりに溜まって爆発した結果、決められたもの以外を暴飲暴食してしまうということがあります。
このような状況を防ぐために、あらかじめ息抜きに相当する日を設けておくのです。
これにより、罪悪感を得ることなく食べることができ、また明日以降の減量のモチベーションも高められるというわけです。
ボディビルダーは意志が強いから減量を成功させられるように思われていますが、それでもやはり一人の人間なので、甘えや誘惑はあります。
しかしながら、前もってそのような存在を認識して対策を打っておくことで、一般の人がなんとなくダイエットを行う場合よりも高い成功率で減量を進めることができるというわけです。
コンテスト出場のためにハードな調整をする必要がある選手は、息抜きとなるチートデイを定期的に設けることで、ストレスが溜まりすぎないようにすることを意識する必要があると言えます。
減量が順調に進んでいる場合はチートデイを設ける必要はありませんが、どこかで不都合が生じた場合は、いったん体と精神を休めるために食べる日を設けることも重要です。
好コンディションを維持するためのチートデイ
最後に紹介するチートデイは、これまでに紹介した3つの目的とはやや趣が異なるものです。
というのも、このチートデイは、コンテストよりもかなり早い段階で体が仕上がった選手が、意識的に食べる量を増やすことを意味するからです。
上手に筋肉だけを残しながら減量をクリアすることができた場合は、体は驚くほど代謝が上がり、食べたものをどんどん吸収する状態になります。
そのような状態になったにもかかわらず減量食を食べ続けていると、どんどんとサイズが小さくなってしまうという現象が起きます。
それを防ぐために、なんでもかんでも食べるというわけではないですが、減量食よりは食べる量を増やす場合があります。
山岸さんは動画の中では、どうもこの食事量の増加のことをチートデイと呼んでいるように思われます。
食事量が増えればそれだけトレーニングの質は高くなり、減量末期にもかかわらず、筋肉を張らせてより大きく見えるように仕上げていくことが可能になります。
注意したいのは、多くの場合は、大会まで余裕を持ってこの状態になることは少ないということです。
減量や調整は往々にして予定通りには進まず、ほとんどの選手が大会直前になってようやく仕上がるという感じだと思います。
仮に大会1ヶ月前で完全に絞り切ることができた年があったならば、その時は、ここに書かれていることを思い出して、少しずつカロリーの摂取量を増やしてみると、想定よりも大きなサイズでコンテストに向かうことができるかもしれません。
他の3つのチートデイの目的と比べると、このチートデイの狙いはやや上級者向けの部分があるように思います。
まとめ
チートデイを設けることには、以下の4つの狙いがありました。
- 減量を加速させる
- トレーニングの質を取り戻す
- 精神を楽にする
- コンデイションを維持する
注意したいのは、たくさん食べられることが嬉しくなって食べすぎたり、何度もチートデイを設けたりしてしまうことです。
減量が終われば好きなものはいくらでも食べられるので、チートデイを行う場合でも、ある程度は節度を持つことが重要です。
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